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会社づとめなど現役時代に精いっぱい働いてきた人や、子供をのびのびと育てたいと思っている人が生活を送るには「マウイは楽園」と私は信じて疑わない。
そんな人のために、この本が少しでもお役にたてば、このうえない幸せである。
ワイレア地区は日照時間が長いカフルイに住んでいる日系4世のサクマさん宅に、毎年12月から2月にかけてカナダからアンダース夫妻が居候する。
「カナダの冬は寒くて厳しい。
年寄りにはあの寒さはこたえるので、避寒のため毎年マウイに来るんです」と、夫婦とも70を超えているが明るく元気。
アンダース氏の話によると「オーストラリアのパースとマウイのカアナパリ、キへィ、ワイレア地区は世界的にみて-年間の日照時間が長い」ということだ。
マウイ島の気象の特色は、東にハレアカラと西マウイ山系があり、年間を通してトレリド・ウインド(貿易風)が吹く。
これが、西マウイ山系に1万mm以上、ハレアヵラの東側には雨を降らせる。
両山系に大量の雨を降らせるため、西部のカアナパリからラハイナ方面、東はマアライアからキへィ、そしてワイレア地区まで年間を通じて天候が安定し、雨は少ない。
仮に雨が降ったとしても、スコール(瞬間的に降る雨)程度で一日中降りつづくという現象はほとんどない。
マウイの人で傘を持った姿をお目にかかったことがない。
スコールの後は七色の虻が大き-かかるので、雨にぬれて虻を楽しんでいる。
Tシャツ、パンツがぬれてもそのまま着ていれば乾いてしまうのだ。
日照問題についてアンダースさんはこんな説明をしてくれた。
「〝ラハイナ・ヌーン″ということばを知ってますかアマウイ島のラハイナでは、頭の真上に太陽がきて太陽の影がまったくなくなる瞬間があるのです。
それは毎年5月下旬と7月中旬の2回です。
マウイ島は北緯2 1度、西経156度に位置していて、太陽が北回帰線から赤道方面に南下するときと、南回帰線から北回帰線にもどる2回、ラハイナの真上を通るのです。
かつてハワイの首都だったこともあって〝ラハイナ・ヌーン″と名付けられました。
むかしから地元の人たちは、この日、この時間に戸外に出て太陽が頭の真上を照りつける瞬間を見届け、影のない世界を体験したものです。
もし、あなたがそのときマウイにいたら、ラハイナ・ヌーンを経験してみてはいかがですか」と語っていた。
日本に「ニッパチ」(二・八)ということばがある。
2月と8月は寒さと暑さで商売もあがったり。
経済的にも不況ということを表現している。
だが、マウイ島の2月はラッシュ・アワーだ。
2月にマウイ島に訪れるため、コンドミニアムやレンタカーを予約しようとしても、思ったところがなかなかとれない。
アメリカ北部、カナダ、ヨーロッパから避寒のため人がどっと押し寄せてくる。
ピイラニ・ハイウエーやワイルクからカアナパリ、キヘイの主要幹線道路に渋滞現象が見られるのは、2月のバレンタインデー(14日)をはさんだ約1カ月だ。
長期滞在型のコンドミニアムは1年前から予約しておかないと、自分の思った部屋がとれない。
8月は学校が夏休みに入るため、長期バカンス組でマウイのコンドミニアムは埋めつくされる。
日本のニッパチということばはマウイには当てはまらないようだ。
マウイの気候の特色は、これまで大きなハリケーン(台風)や津波に見舞われないことだろう。
中央アメ-カ西部の熱帯性海域では5月から1 2月にかけて熱帯性低気圧が発生し、ハリケーンに発達する。
だが、西経140度を越えてハワイ方面に達するハリケーンはごく稀になる。
しかし、例外はある。
ハワイ諸島のなかでもカウアイ島を襲った「イニキ」という超特大ハリケーンが有名。
最大風速72mという怪物で、島の9割の家屋に被害を与えた。
私は11月からカウアイ島のココパームスホテルで行なわれたエルビス・プレスの映画「ブルーハワイ撮影30周年記念」に友人と参加した。
『ブルーハワイ』のラストは、ココパームスのホテル内の水路でウエディングを挙げるシーンだった。
ハワイの四季・冬12月~2月、気温は17-25℃・雨季・快晴からいきなり「スコール」が降り、虹が出る美しい季節。
クジラの親子が沖にやって来るので、ホエール・ウオッチングが楽しめる。
・春・-3月~6月、気温は18-25℃。
このころの海岸は一年でいちばん美しい。
雨季が終り、波がおだやか。
・夏・・・7月~9月、気息は22-31℃。
ハリケーンが発生する時期だが、めったに上陸はしない。
トレード・ウインド(貿易風)のお陰でサマーといっても朝夕は涼しい。
・秋- 1O月~11月、気温は18-28℃。
収穫の時期。
10月ごろはスコールと晴れと繰りかえすとき。
11月になると朝晩は冷え込み、手足がヒヤーッと感じる季節。
その翌年に「イニキ」がカウアイ島を襲い、このホテルはすべて吹っ飛んでしまった。
2年後にカウアイ島を訪れたときは跡形もなかった。
このような例外をのぞいては、マウイにはい ままでに大きなハリケーンも津波も来ていない、というから実にめぐまれている。
「チャイナ・エア・ライン」(中華航空)に乗ると、客席の前の大きなスクリーンに現在飛行中の位置が刻々と知らされる。
成田空港を発ち、ハワイに近づくとオアフ島ホノルルの表示が中国語で「壇香山」と出る。
「壇香山」の由来を中華航空広報部に聞くと、ハワイに自生するビヤクダン(白壇-サンダルウッド)からとったのだ、という。
黄褐色の白壇の木を乾燥させると、素晴らしい香りを放ち、家具、調度品、仏像、香料の材料として珍重された。
中国人がこれを好み、雑貨品、工業製品などと交換した。
カメハメハ大王は白壇貿易で、大きな富を得て、ハワイの特産物と西欧・中国の製品の貿易経路をつくりあげたが、白壇は乱獲によう激減してしまったという。
マウイ島のカフルイ空港から30号線でラハイナ方面に向かう途中、西マウイ山系のふもとに「サンダルウッド-白壇」というゴルフ場がある。
白壇は低地から丘陵地にかけての乾燥した林に生息した。
ハワイの自然の根幹をなしているトレ-ド・ウインドの恵みだ。
マウイには北東から南西に向かってつねにトレ-ド・ウインドが吹き抜けている。
白壇もトレード・ウインドの影響を受け、長年風にさらされるため、硬い材質のものが育った。
年間を通して北東から吹くトレ-ド・ウインドこそ、ハワイを「太平洋の楽園」に仕立てあげた。
マウイ島には東にハレアカラ山があり、西にはプウククイ山がある。
海を渡り、湿り気をたっぷり含んだトレ-ド・ウインドは、ハレアカラや西マウイの山にぶつかると、山の中腹で雲となり、急に冷やされて大量の雨を降らせる。
ハレアカラでは、雨量が大変多く、西のプウククイ山では1万m以上という、とてつもない量の雨が降る。
トレード・ウインドがぶつかる山側では雨だが、雨を降らせた反対側は山からカラッとした風が吹き降りてくる。
カバルア、カアナパ-、ラハイナ、キヘィ、ワイレア、マケナの地区は晴天がつづき、実にさわやかな風が吹き抜ける。
カアナパリを中心とした地区、ワイレアを中心とした地区は、マウイの二大地区。
だが、晴天率がよく 、海岸線がきれいなのに、地区といってワイキキのように近代化されてないところがアメリカ、カナダ、ヨーロッパ方面の人々が長期滞在する人気の秘密だろう。

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